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2017年4月 9日 (日)

後藤捷一の木頭タフ(阿波太布)調査

■2017年4月9日(日)


 調査した人と、それに応えて太布について語った人を調べている。

 
 昨日、「日本の古本屋」というポータルサイト経由で注文した本が2冊届いた。
 4月4日にとくしま木頭出原の太布庵で見たねずみ色(灰色)の表紙の本『無形の民俗資料記録第20集 紡織習俗 Ⅰ 新潟県・徳島県』(文化庁文化財保護部、昭和50年・1975年3月刊)は、内容は国土地理協会から発刊されている赤い表紙の『民俗資料選集3 紡織習俗 Ⅰ 』(1975年5月刊)と同じ。
 調査は昭和37年度(1962)に徳島県文化財専門委員 後藤捷一(しょういち)。
 調査は1962年(昭和37)に行われた。 
 聞き取り調査は、原料植物については安岡岩樹氏(75歳)が話し、紡織については岡田ヲチヨ氏(74歳)、榊野アサ女氏(72歳)の2名から話しを聞いている。(※アサ女は誤りで正しくはアサという。木頭の玄番真紀子氏から4/8の教示)

 

 
 近畿民俗学会編『阿波木頭民俗誌』(1958年・昭和33年3月刊、大阪市東淀川区三国本町58稜霄文庫刊行会 後藤捷一 発行)
 優れた民俗誌である。
 口絵の太布(タフ)製品の角袋の注記をみると、後藤捷一蒐(しゅう)集品、後藤捷一家伝来品、徳島県名東郡国府町早淵 後藤捷一家伝来品(夜具入)、木頭で蒐集したもの(弁当入)などとある。
 また角袋で穀物運搬の荷造(21頁)で2種の用い方(平地、急坂地)。
 角袋はほとんど穀類運搬用であるが、阿波藍全盛時代には はこば・りんごみ・ちりば・どすごみの洗浄用にも使用された(179頁)。

 太布については後藤捷一の調査・視点が鍵となっているようで、彼について調べてみると以下のようである。評伝が私家版で出ている。また蔵書が四国大学に所蔵されている。前述の2冊の執筆のための、調査取材ノートがあるかどうか、興味深い。
 
 『阿波木頭民俗誌』は昭和31年1月1日から4日、翌32年4月3日から6日まで行われている。この時の後藤捷一の行動記録(ノート・写真類)が一次記録となると思われる。
 
 祖谷太布については喜多郷美、逸名の2名から聞いている(167頁)。
 ヒュウジ(苧麻、カラムシ)の記述があり、カジノキ・アサとともに用いた(170頁)。
 
 木頭太布については北川の西ヨシ(68)、折宇の折上ヒサオ(74)、同 西川トキ(67)、出原の松葉シナ(46)。原料採取では元中内の人久保定一(60)、川島の戸田嘉蔵(85)から話を聞いている(170頁)。
 
 
 
 
 染織書誌学研究家後藤捷一は、肝腫瘍のため9月17日大阪市淀川区の東淀川病院で死去した。享年88。1982(明治25)年1月2日徳島市に生まれた。1909年、徳島県立工業学校を卒業、直ちに大阪に出て染料の研究を始める。染織関係の業界誌を編集する一方、染織を主体にした文献を収集し、『日本染織譜』など数多くの文献を残し、晩年には約70年にわたって集めた資料や文献を整理、室町時代から明治中期までの計671点からなる『日本染織文献總覧』をまとめた。また、藍の研究でも著名で、特に阿波藍の研究では第一人者であった。
主要著書
染料植物譜 高尾書店 昭和12年
同上 複刻 はくおう社 昭和47年
日本染織譜 東峰出版 昭和39年
日本染織文献總覧 染織と生活社 昭和55年

出 典:『日本美術年鑑』昭和56年版(264頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
 
 
■ → 後藤捷一
 
 
染織史・郷土史研究家(1892~1980年9月17日)
明治25年(1892)、徳島県生まれ。徳島工業学校染織科卒業。小学校、技芸女学校教員の後、大阪に出て染織・染料の雑誌を編集。大正12年、澤田四郎作 と知りあった頃から郷土研究に関心をもち、阿波の地域史研究をすすめる。昭和9年に大阪民俗談話会(のちの近畿民俗学会)に参加。また戦前・戦後にわたって大阪史談会を主催し、『郷土史談』『大阪史談』を発行。昭和28(1953)年、三木文庫主事。三木家の修史と藍の研究を進める。
後藤氏の旧蔵書(阿波に関する地方史料および国文学関係資料など約17000点)は、没後、四国大学附属図書館(徳島市)に寄贈され、「凌霄文庫」として公開されている。
おもな著作
『染料植物譜』(1937)
『絵具染料商工史』(1938)
『江戸時代染色技術に関する文献解題」日本植物染研究所,1940.1
『稲葉通竜と其著書」大阪史談会,1941
『郷土史談 第4編.吉野川筋用水存寄申上書」大阪史談会,1942
『郷土史談 第5編 (後藤尚豊雑稿)」陵霄舎,1944
『郷土史談 第6編 (飯尾常房考)」大阪史談会,1951
『郷土史談 第7編 (探墓掃苔録)」大阪史談会,1953
『郷土史談 第8編 (阿波の十郎兵衛)」大阪史談会,1954
『細川成之略傳」丈六寺顕彰会,1960.12
『古書に見る近世日本の染織」大阪史談会,1963
『日本染織譜 家蔵版」東峰出版,1964.9
『日本染織文献総覧』染織と生活社(1980)
編纂
『摂州崇禅寺馬場敵討縁起」編.崇禅寺,1932
『染料植物譜」山川隆平共編.高尾書店,1937
『郷土史談 第2編.一ノ谷戦記」編. 後藤捷一,1938
『世界染色史料集成」原田石四郎共編.後藤捷一,1942.4
『郷土史談 第11編 (慈雲院道空細川成之伝)」編.大阪史談会,1959
『郷土史談 第12編 (祖谷山日記)」編.大阪史談会,1962
『郷土史談 第14編 (阿波の芭蕉句碑略考)」編.大阪史談会,1966
『郷土史談 第10編 (有賀長伯阿波日記外篇)」編.大阪史談会,1967
『後藤捷一大人著述目録」岩村武勇編.後藤捷一先生祝寿記念会,1969
『木綿麻日記 校注」松月堂心阿著 編.大阪史談会,1970.郷土史談
『染料植物譜」山川隆平共編.民芸織物図鑑刊行会はくおう社 1972
『十七瀬の水泡」編著.大阪史談会,1977.9.郷土史談
『日本伝統織物集成」監修 辻合喜代太郎編纂.日本図書センター,2011.6
四国大学附属図書館
http://www.shikoku-u.ac.jp/tosyokan4.html
社団法人 三木文庫
http://www.mikisangyo.co.jp/bunka/bunko.htm
 

 

学術資料として、また文化財的資料として「凌霄」(徳島出身で藍の研究家、郷土史家として知られた故後藤捷一氏の旧蔵書)、すなわち阿波に関する地方史料および国文学関係資料など1.7万点を所蔵している。 最近この資料の価値が見直され、大きな関心がよせられている。国立国文学研究資料館がマイクロフィルム化済み。現在、附属図書館では「凌霄文庫データベース」の構築を行っている。

 
 
■評伝と思われる本がある。→ 吉川捷子『後藤捷一 八十八年の足跡』 1981年 川崎市で発行。私家本。日本の古本屋で発注。
 
 
 
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加藤幸治「ローカルなコンテクストにおける民具の理解に向けて 四国・那賀川上流地域の天秤機を事例に」では、 
2003年8月、阿波太布製造技法保存伝承会の中川清会長ら15名から聞いている。
 
 太布では仕事着や袋などに仕立てられる。
 ワッパ袋(弁当袋)
 ツノ袋またはモジ袋(山仕事の道具入れ)
 仕事着、穀物袋、畳の縁。
 阿波三盆糖の黒蜜を搾り出す袋布(60頁)
 60頁の明治30年に鳥居龍蔵と玉置繁雄が民族誌学的調査をおこなっている(鳥居1953)としているが、これは引用文献をそのまま記載したようで、誤りで、調査が行われたのは明治34年である。
 
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■森本孝編、田村善次郎・宮本千晴監修 『あるく みる きく双書 宮本常一とあるいた昭和の日本 21 織物と染物』(農文教、2011年8月)
 
 昭和42年2月 野生植物の皮を編む(木綿以前) 宮本常一
 
 昭和51年11月 阿波藍小話 後藤捷一
 
 昭和57年6月 木の布・草の布 竹内結子

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